柏島魚類データベース

Repomucenus richardsonii Temminck and Schlegel, 1845 ネズミゴチ

-> English
属名 Repomucenus ネズッポ属
学名 Repomucenus richardsonii
和名ネズミゴチ
記載 Temminck and Schlegel, 1845
サイズ 全長 17cm
説明背鰭は2基で、側線は体の背側寄りを走る1本だけである。体側下部を縦走する皮褶と鰓蓋皮弁はない。尾鰭の中央部軟条は分枝する。前鰓蓋骨棘は短く、その下縁に1本の前向棘と背縁に2〜4本の小棘がある。雌雄ともに糸状に延長する背鰭鰭条がなく、雄では第1背鰭の上縁が黒く縁取られ、雌と未成雄では第1背鰭の後半に白く縁取られた1大黒斑がある。
分布湾内の岸近くの浅い砂底。陸奥湾、青森県〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、北海道噴火湾〜九州南岸の太平洋沿岸、瀬戸内海、屋久島;朝鮮半島南岸、済州島、台湾南部、澎湖諸島、広東省・広西省。
生活史太平洋沿岸ではアサリがよく生息するような内湾の砂底に多い。夏季には干潮線から水深数mの範囲に多く生息し春から夏にはキス釣りの外道としてよく釣れる。秋の水温低下期にはやや深みへと移動するが、水深15m以深で採補されることは稀である。産卵期は春秋2貝あり、春の産卵期は3〜5月で4月が盛期、秋は9月下旬〜11月中旬で10月が盛期である。産卵に先立ってネズッポか魚類特有の求愛行動が行われる。雌はほとんどの時間を砂中に体をうずめて静止し、時折砂から出て小きざみに泳ぐ。一方、雄は鰓蓋と鰭を大きく広げて付近を遊泳し、他の雄と出会うと体当たりを仕掛ける。雌に出会うと鰭をさらに広げて寄り添うか、そのまわりを巡って求愛する。ディスプレイしている雄の胸鰭と腹鰭を互いに接すると番が形成される。その後、両者は胸鰭を接し合う形で、体軸を水面に対し60度位に保ちながら上昇を開始する。水面近くではこの角度が20〜30度くらいになり、雌雄は腹面を接し合うようにして放卵・放精を行う。成熟雌の抱卵数は1500〜4000粒で、卵は浮遊性である。浮遊生活を終えた稚魚は全長2.5〜3.0cmで着底生活に入ると見られる。四国太平洋岸では4月に標準体長(尾鰭を除いく)8cm、12cm、16cmの三つの体長群が認められる。これらは第1群が前年春、第2群がさらにその前年の春、第3群は同春生まれと推定される。前年の秋生まれは4cm前後で網目に掛からない。餌生物はアサリやホトトギスガイ、巻貝類、貝虫類、ヨコエビ類の順に多い。
参照